最近すっかりmax専門の私ですが、実はもともとはsoftimageで仕事をしておりました(^^;
その時代にお世話になったAVID社の方のご協力が得られましたので、XSI|5を簡単にレビューします。
●XSI 5の開発の進行について
ソフトウェア本体のローカライズは開発と同時にやっているが、マニュアルの印刷の問題などで、アプリケーション本体の発売は米国に3ヶ月遅れるとのこと。
なんと、1万2千ページのローカライズを行っているそうです。
●UIの改良
XSI5からは、MAYAやMAXなどと同じショートカットキーが使用可能となります。
コンストラクションモードが上のメニューバーに来た。これによって、モジュールを変更しても、上のメニューバーの長さが変わらないようになった。
このバージョンから、ようやく全てのコマンドがフロートにできるようになった。IRIXからの伝統であるインターフェイスが破られた画期的なバージョンといえます。
●メッシュ編集の強化
Lightwaveライクの、ショートカット連動型メッシュ編集が可能になった。
●安定性の強化 まず、何をしてもオブジェクトが壊れないことを達成した。
たとえば、適当にボーンをかけようが、めちゃくちゃなシェイプアニメーションをしようが、ポリゴンの裏表がひっくり返ってしまったり、モデルがぐちゃぐちゃになることはない。
ついで、本体の安定性も向上する予定。
以前のバージョン(XSI4)では、ソフトウェアが落ちたときにレポートを出すシステムを作った。そうしたレポートをまじめに受け取り、検討した結果、大幅に改良が進んだのだそうだ。
●ゲーター機能。(属性の転送)
今回のXSI5の目玉、それがゲーター機能です。
アニメだけでなく、全ての属性をあらゆるオブジェクトに転送できる、ゲーター機能が装備された。 もともとゲーター機能は、ゲームで使われることを想定して使われるので、ポリゴン数も違えば形状も違うモデルにも適用できます。
もちろん、両面ポリゴン、オブジェクト数の違いなどにも対応しています。
なぜ、この機能を導入したのかというと、今までのUVラッピングの方法では所詮限界があることがあげられます。
そこでAvid社では、このゲーターを提案します。
例えば、このゲーターを使えば、さまざまなオブジェクト同士にマテリアルを転送できます。
もちろん、UVの転送は、似た形状である必要はありません。
さらに、リアルタイムでUVを転送しているので、転送もとのオブジェクトを変形すればテクスチャを簡単にあわせられるのも特徴です。
フリーズをかけなければ複数の異なるオブジェクトに対して同時にゲーター可能。フリーズをかければ、独立したオブジェクトとしての運用も当然可能です。
●法線マップ作成ツール
Avidの開発陣は、他のソフトのように、法線をケージ(オブジェクトを取り囲む籠)から出す手法は、すでに限界に達しているという判断をしました。そこで、まったく別の視点(面の両面から処理を行う手法)で法線マップを行う仕組みを開発した。
これにより、どんな複雑な形状であっても、伸びや崩れのない正確なバンプマップが可能になった、とのこと。 UVWに代わるゲーターマッピングの手法とあわせれば、相当複雑な形に対するマッピングでも、ほぼテクスチャの”流れ”無しに貼り付けができるようになるはずです。
●その他
最新の高品位レンダラー、mental ray3.4.6を搭載。
このバージョンではスキャッタリングを強化して、唇などのトランスルーセントな質感を綺麗に出すことができる、とのこと。
いままではタイミングの問題でmaxなどに最新バージョンを使われてしまっていましたが、本来mental rayはsoftimageシリーズをインタフェイスとして発展してきたものです。
これでようやく本来の形に戻った、とのことです。
●マスダイナミクスの搭載
これは、AGEIA社の物理シミュレーターからの流用。
数千のオブジェクトのダイナミクスを、きわめて軽く、そして正確に出力できるのが特徴です。
実際、デモをしてもらったノートパソコンでも、さくさくと大量のオブジェクトが正確に動く動く!!
おそらく、3DCGでは初めてそのまま手を加えずに実用に耐えうるダイナミクス機能が実装されたのではないかと思われます。
●総じて
ライブラリのワークフローが実現されたのがまず一つ大きな売りといえます。
そして、一番の目玉は、ゲーターと、フェイスロボット。
フェイスロボットは、従来であれば時間的に不可能であったフェイシャル部分を短時間で実現する仕組みですが、まだ未完成で、計画発表段階です。フェイスロボットについては、XSIに内包するのか別売りなのかは今のところ未定です。
SOFTIMAGE|XSI Essentialsではボリュームパッケージもあり、その場合には、約60万円で5本のライセンスという、驚異的なコストパフォーマンスも誇ります。
上位バージョンのAdvancedでは120万円以上と高価になる代わり、ファーやオプションシェーダーがつきます。
共に、初年度保守費用込みの金額だそうです。ほとんどのユーザーがEssentialsを選択しているそうです。
ただ、日本での仕事の広がりを考えると、ライセンスの選択はなかなか難しい問題です。米国と異なり、日本では、アニメのCGを制作していた会社が次のプロジェクトでフォトリアルスティックな質感のものを作るということもよく発生します。そういうときに、Essentialsだけしかもっていない場合、仕事をみすみす逃すことにもなりかねません。慎重なライセンス選択が必要でしょう。
以上です。
非常に発売が楽しみなソフトウェアです。
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