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日記概略

雑多に

 雑多にメモ書き程度の日記を。


 まず、最近はまっている刀と剣術。
 あちこち道場を見学に回る内に試し斬りの機会に恵まれ、自分の安刀「助六丸」と現代試斬刀との切り比べをする機会を得ました。(刀に傷の付きにくい新聞紙を丸めて立てたものを斬りました。)
 結果は、お借りした現代試斬刀の圧勝。
 さすがに現代刀は健全で、初心者の私が斬ってもすぱすぱ切れます。
 身幅(刀の幅)も厚く、重ね(刀の厚み)は薄く、まるでカミソリのようになんでも斬れるんですね。
 それに対して我が「助六丸」は、身幅が細く、重ねが厚いため、本当に上手く刃筋が通らないと斬れません。
 まあ、新刀とはいえ、作刀後350年の月日を過ごし、明らかに実戦に使われた跡もある美術刀剣ですから、切れ味に劣るのは仕方がないのですが。
 少し面白かったのは、「助六丸」に関しては、試斬の先生が斬るよりも私が斬った方が切れ味が良かったと言うこと。
 私が斬ると一刀目は大体斬れ、姿勢がやや崩れる二刀目以降は斬れないのですが、私以外の人には、腕に関係なくそもそも一刀目から斬れないようです。
 本当に、あしらえたかのように私の体に合っている刀なんですね。
 ただ、この刀でそのまま試斬を行うのは困難だということも自覚しました。
 新聞紙はともかく、藁束を斬れる事は間違いないのですが、試斬が前提としている現代刀とあまりに違いすぎます。
 かといって、現代刀を購入するウン十万ものお金は無いし、「助六丸」を売る気ももっと無い(というか、安刀そのものの助六を売っても、現代刀購入の足しにもならんでしょうし(^^;)。ヨットをやめれば刀なんでいくらでも、なんて声もありましたが、ヨットはそんなにお金のかかるスポーツではありませんから、ヨットをやめても刀を買うお金なんてどこからも出ませんし、そもそもヨットをやめる気なんてさらさら無いわけで。
 第一、ヨットは既に、趣味と言うより、私自身のアイデンティティを構成する血肉の一部ですからね。
 ある時は移動オフィスとして、ある時は接待に、ある時は別荘代わりに、ヨットを実用として仕事に生活に活用しているのもまた事実です。
 ヨットを辞めろと言うのは、今の自分としての積み重ねを捨てろと言われているのと同義なのです。
 しかし、私にとって、直接実用することの出来ない(というか、実用しちゃまずい(^^;)剣術は……少なくともそういう意味での血肉には成り難いわけで。
 自己規定の問題ですが、少なくとも、私は「創作家であり、ヨットマンである」のであって、自分を「剣士である」と位置づける人間には当面は成り得ないと思っています。
 剣術は、あくまでも、日本人としての社会常識の一部として最低限学ぶべきものである、という考えでやっています。


 次いで、AMEXなんかの話。
 社長とは名ばかりの赤貧の身故に色々と悩んだのですが、会社の方のカードも、ビジネスプラチナに換えました。
 センチュリオン(ブラックカード)の存在している個人カードと違って、ビジネスカードではプラチナが最上位に当たります。
 実際、案内されるサービスも、個人のプラチナとは結構違う気が。まあどっちにしても赤貧洗い流して何も残らないくらいのアニメ業界の人間には手が届かない広告ばかりなんで、あまり関係無いんですが。
 どのくらい貧乏かというと、今日も会社で片付けをしながら、昨日の日本刀泥なんかの話題の際に、「いやあ、うちは盗みに入られてもあんまり取られるものがないねえ」等と話していたくらいでして(^^;
 弊社唯一の資産であるCGソフトウェアの数々も、ソフトウェア本体はダウンロードが可能で、常時ネットで管理されているライセンス番号そのものが資産という形ですから盗みようがないですし(苦笑)(あ。もちろんそうは言いつつも自宅共々、防犯はそれなりにしっかりやってますよ。他社さんより厳しいくらいかも。なにしろ、資料が漏れたら厄介ですから。)


 まあ、要するに、うちの会社もそんな貧乏零細ながらいよいよ10年目なので、ビジネスクレジットカードでもプラチナが出るようになったんですよ。
 その記念というつもりで作りました。
 カード会社さんとはいえ、他社さんに実績を認められるのは嬉しいことでもありますし。
 もっとも、サービスが色々付く割には、追加カードの会費などを考えるとビジネスゴールドとあまり大差ない年会費である、というのがプラチナへの切り替えの、大きな決断理由なのですが(^^;
 なにしろ、個人と違い、追加カードごとに保険が利くのがビジネスプラチナの最大の特徴です。
 実はAMEXの上位カードの本質は、複雑に組み合わされた保険の固まりなんですよね。そう考えると、実はかなりお得なカードなんです。
 ただ、当方ゴルフはしない身(というか、そんなハイソなスポーツをするだけの金銭的余裕がない身)なので、やたらと充実したゴルフ関連保険の分の年会費を下げるか、あるいは他のスポーツ保険に振り替えて欲しいなあ、なんていう気持ちもあるのですが(^^;
2008-06-26_03:23-teduka-C(0)::General

日記概略

雨、雨、雨

 ここのところ、雨ばかり続いていますね。
 雨だとヨットにも行けません。
 ……いや、平日なので、元々行けないのですが(^^;
 それにしても、海でやるヨットと塩っ気に弱い日本刀を使う居合とは、なんとも相性が悪い趣味二つですね。
 まあ、居合は仕事上必要な経験という面も大きく、どうしてもヨットの方がメインの趣味なのですが。
 なぜかうちって、日本刀が出てくるCGやゲームを担当することが多いんですよね。
 特にそういう仕事を選んでいる訳じゃないのですが。どうしても社長の趣味がでるのでしょうか?
 映像作品やゲームで日本刀かロボットが出てきたら、テロップに注目、です(^^;


 でも、ヨットや帆船が出てくるシーンは、10年会社を回していて2回くらいしか担当していないという不思議。
 ……というか、そもそも日本の映像作品やゲームに、あんまり船って出てこないんですよね。
 実際、せいぜい「男たちの大和」と「ワン・ピース」以外、最近海モノが売れたという話を聞いたことがない。(「海猿」は、海洋モノとはちょいと違うでしょうし、その次の「亡国のイージス」あたりになると大ヒットしたと主張するのは厳しいでしょう)
 日本の映像では、「フネ」っていう名前の乗り物に乗りながら、大抵、空を飛んだり宇宙を飛んだりしているわけで。
 「パイレーツ・オブ・カリビアン」などの例を挙げるまでもなく、米国モノなどでは、海洋モノは定番なのですが。
 これは、海運に生命線を頼る我が国としては、ちょっと問題です。
 運河の復活などのプロジェクトも各地で動いていますが、海洋国家として海に親しむ日本文化の復活も、急務なのでしょうね。
 ……でも、大中古のボロヨットを持っているというだけで金持ち扱いされる現状では、遠いなあ。


 また、とりあえず、小沢塾のレポートは完了。
 今回のテーマは社会保障についてだったのですが、いやはや、自他共に認めるリバタリアンの私には、辛いテーマでした(^^;
 理屈の上では我が国に社会保障が必須なのは理解しているのですが……
 あちこちに取材にも行きましたが、一番難航したレポートだったかも知れません。
 不勉強を恥じる今日この頃です。


 あと、刀の鯉口を修理しました。
 まだまだ抜きが下手で、納刀の際にでもうっかり削ってしまったらしく、鯉口がゆるゆるになっちゃったんですよ(^^;
 店主先生にはサービスで直していただいて、ありがたい限り。
2008-06-24_02:28-teduka-C(0)::General

 刀、一振りの歴史(その1)の続きです。


先生「まあそうですね(笑) しかしながら、この刀の由来には少々事情がありまして、実はこの助廣という人は……」
 先生は、そう言いかけたあと、ふと、妙な質問をなさったのです。
先生「ああ、そういえば、手塚さんは名刀を何本も持ってらっしゃるんでしょうね」
 え? ……いえ、脇差しはともかく、まっとうな刀はこれが初めてです。
先生「おや、そうですか?」
 ただ、信州の田舎の親戚連には何本かあるようですが。
 私がそういうと、先生はああ、と納得されたような声を出されて元の話題に戻られたのです。
先生「……まあ要するに、若打ち(若い頃の別銘での刀)にこういう銘があるんですよ」
 そして、簡単に助廣の歴史についてのお話がありました。先日までに聞いていた、店番のおばさん経由での話と合わせると、こんな感じです。(なお、聞き違いなどの責は私にあります(^^;)


 つまり、先代のそぼろ助廣とこの刀を打ったと思われる二代目の津田助廣は恐らく実の親子で、この刀はその親子が揃っていた時期の作であろう、と。実際、先代が引いて、先代の代打ちをしていた二代目が跡目を継いでからのごくわずかな時期だけ、「越前守源助廣」での銘があるのです。
 だから銘も安定しないし、この刀に至っては、作風はそぼろ助廣そのもの。絢爛豪華な後期津田助廣の濤濫刃仕上げではなく、地味な直刃の、よく切れる実戦刀に仕上がっているのでしょう。
 丸津田、角津田などといわれる、他人にデザインをして貰っていたサインを使っていた後期助廣とは異なり、このころの銘はあからさまに定型のない手彫りでただでさえ贋作が作りにくいのに、昭和に入ってからようやく研究が進んで実在が確かめられたような世間に知られていない若打ち銘を真似て、そぼろ助廣でも通るような直刃の出来の良い刀をわざわざ持ってきて、そこに偽銘を入れる必要が無い、というお話でした。
 だったら、贋作をするにしても、素直に作風が同じ先代のそぼろ助廣の銘を入れるか、あるいはいっそ直刃の無名優良刀として売った方がよいのではないかという理屈です。
 二代目助廣の魅力は濤濫刃なのであって、これだけ目の詰まった地肌を持つ出来の良い直刃刀を二代目の世にあまり知られていない銘での若打ちと偽装する理由がないのです。
 錆の具合から見てこの銘は江戸時代に刻まれたものであり、写真技術のない当時、しかも贋作師に若打ちの押し型などの入手が出来たかどうかも怪しく、これだけ似せるのは至難の業であろう、ということでした。
 ただ、この刀が贋作とされてしまったのには仕方がない側面があり、虎鉄と助廣と真改は、存命時から偽物が多く、そのために、世に出ているほぼ100%が偽物なのだそうです。(ちなみにこの3人は同時期の人で、助廣と真改は同じ大阪在住で仲が良かったそうです)
 もっと言えば、実は、本物とされている助廣のかなりが偽物ではないか、とも言われているわけで……。本物がどんなものか確実にはわからない以上、つまり、現状では本物を100%確実に同定する方法が無いわけです。
 従って、本物と思われるような出来の良い直刃の刀ではあっても、同定のしにくい銘切れの助廣銘が入っている時点で、半ば自動的に偽銘鑑定となる、というわけです。
 要するにこの刀は、どこまで行っても偽銘の安物というわけで……(笑)


 なるほど、と思われるお話です。
私「うーん。では、この刀は居合などには使わない方が良いですよね?」
 本物の可能性があるというのは嬉しいことですが、居合に使う気満々でいた私に取っては、嬉しい悲鳴という感じです。
 しかしそこは先生、にっこりと微笑まれ……
先生「(細身なので試斬はどうかと思いますが)素性が良いだけに居合になら向いていますよ。でも、どうぞ、手塚さんのお好きなようにいかようにでもなさってください。手塚さんの御刀ですので」
 なるほど。自分がこの刀を一時預かる、この刀の歴史上の大勢の主人の中の一人となるのか、それともこの刀の最後の主人となるのかの判断をすることこそが、持ち主の特権、ということなんですね。
 刀の主人となるということは、その刀の歴史を終わらせる権利を持つと言うことであり……なんとも重い判断を任せられるものです。
 ……まあ、皆さんご存じの通りの私の性格上、どんどん使っちゃうとは思うんですが(^^;


 さて。
 ここまでならば、まあ普通の刀剣好きの日本人なら良くあるお話です。
 ここからが、今回の本題。ちょっと不思議なお話。


 ……実は、先生のお話のあとで、この刀について自分でも調べてみて、興味深いことがわかってきたのです。


 まず、この助廣。実は近年になって大鑑が2冊出ているので、そこから引用をして比較をしてみました。

 左端のものが私の刀の茎、その他のが引用した正真の茎です。
 私の刀はこのように銘が切れていて、「助○」になっています。
 どうでしょう?
 ちょっと目釘穴から銘までの距離が気になるのですが、この翌年の「越前守藤原助廣」の銘ではこのくらいの距離なので、決定的な偽銘の証拠とはなりにくいかな、と思っています。ただ、「越」の字は、上から薄れた部分を打ち直した感じもありますね。
 正直出来は良く、もし銘切れしていなければ、無銘の刀であったとしても、到底私に買える刀ではなかったような気がしています。
 しかし現実には今、偽銘の安ガタナとして私の手元に舞い込んできたわけです。
 これも、まさに運命。


 で、大鑑を読み進める内、実は、助廣親子が隠れクリスチャンだったのではないか、という説が濃厚であるという記述に驚きました。
 そもそも、父である「そぼろ助廣」の「そぼろ」は、「そ木路」という当て字がしてあったために鍛冶場を置いた場所の路地銘であるとされてきていたのですが、実は、大阪にはそんなに地名は存在していないらしいのです。
 では何なのかというと、フランシスコザビエルの弟子、マラッカで洗礼を受け日本人最初のクリスチャンとして活躍した、パウロ・ヤジロウ(ポール・アンジロー)の洗礼名でもある、セント・パウロの当て字で、「そ・ぽろ」である、という説があるらしいのです。
 実際、そぼろ助廣は、高名な刀鍛冶であるにもかかわらず、常にこじきのような格好をしていたとも言われ(そのため、「素でボロ」から「そぼろ」という説もある)、清貧を持って徳とするクリスチャン的な生活が見られた、という話もあります。
 また、二代目の津田助廣も、ザビエル来日120周年の寛文9年12月の日付けを入れ、わざわざ「天帝」という号の入った名刀を打ち上げています。この天帝は漢文から1字ずつつまみ取ったのだと本人は言っていたそうですが、そもそも、12月で天帝なんて、確かになんだか意味深です。
 さすがに、日本刀という神道に密接する職業の者の話であるだけに、2つの大鑑の内の片方では明確に否定していますが、それでも、重要な説の一つとして取り上げざるを得ないほどにメジャーな説であるようです。もう一つの大鑑の方では、否定すらしていません。
 また、助廣親子は南蛮鉄(ダマスカスで有名なウーツ鋼)を積極的に用いていたことでも知られ、特に、二代目助廣の十文字槍には十字架を思わせるデザインのものがあるそうです。この時代は、島原の乱の直後であり、まだ鎖国が完了して居らず、キリシタン弾圧が行われてゆく過程でもありました。つまり、助廣と西欧との繋がりは充分にあったわけです。
 では、大鑑から引っ張ってきた、十文字槍の代表作の押し型を見てみましょう。

 確かに、西洋の十字架を思わせるデザインです。しかも、これも南蛮鉄。
 これは実は、助廣のパトロンからの依頼作で、このパトロンからの依頼は、全て南蛮鉄で仕上げてあるそうです。
 このパトロンとの関係も、助廣親子のクリスチャン説を押しているようです。
 そのパトロンの名は……

 手塚末葉金刺光秀。
 ……なんか見覚えのある名字ですね。
 ……ええと(^^;


 ……なにやってんだ、ご先祖様。
 い、いや、わざわざ手塚末葉なんて書いて滅んだ主家である金刺の姓を名乗り直してあるから、恐らく大阪あたりに出た分家の方でうちの直接のご先祖ではないのでしょうけど、金刺系(つまりは諏訪系で木曽義仲の元配下の家系)の手塚家と言ったら、ほぼ間違いなくかなり近い親戚の方。
 うーん、手塚の家は神道系で、隠れキリシタンとは無縁だと思ったんだがなあ。
 先生の意味深なお言葉、ひょっとしてこのことを言っていたのかも知れませんね。


 それにしても、こりゃ、うちに助廣が来るのも納得です。
 刀剣の世界では、人が刀を選ぶのではなく、刀が主人を選びます。
 この刀は所詮は銘切れの安ガタナですが……例え刀身は偽物だったにしても、確かに本物かも知れないな、とそう思えてくるのです。




PS
 ああ、もちろん、偽銘の偽刀の確率の方が圧倒的に高いですからね(笑)
 刀の魂の部分としてはともかく物理現象としては、99.9%偽銘だと思っています。
 刀剣好きの夢話を、真に受けないように! ワハハハハ(^^;
2008-06-20_02:06-teduka-C(3)::General

 先日見学に行った居合道場の関係でご縁があって、刀を一振りお預かり(購入)することになりました。
 もちろん、赤貧洗うがごとし、アニメ業界所属の私に出せる小遣いの範囲でしたので、超破格のお安さでした。
 居合向け実用刀ですので、いわゆる安ガタナですね(^^;


 で。購入したのは、かの、津田越前守助廣!
 ゲームなどでもお馴染みの最上大業物「そぼろ助広」の息子で、大業物の認定を受けている、かの助広の銘が入っています!
 ……ただし、直刃、擦り上げ(抜き打ちしやすい刀にするために短く加工してある)、銘切れ(擦り上げのせいで銘が途中で切れている)、しかも、銘ダメ(偽銘)、という売り込み文句がカタログに踊っておりました(笑)
 ……皆さんに期待させておいてなんですが、要するにかろうじて登録美術品というだけのまがい物。無銘刀以下の存在。いわゆる「安ガタナ」の定番文句そろい踏みの安物です。
 まあ、どうせ居合で藁束相手に振り回して刃欠けさせちゃう実用刀なので、自分的には転売価値無しの安物でも全然OKなのですが(^^;


 この刀を選んだ基準は、まず長さ。この日記を読んでいる方ならご存じの人も多いと思いますが、私は日本人にしては体格が良く、肩が張っていて腕が長いので、普通の長さの刀だと短すぎて格好が付かないのです。
 しかし、この刀は、2尺5寸3分と、なかなかの長寸。私が右手で下げて、切っ先が床から1寸ほど浮く、まるで私のためにあしらえたかのようなバランスでした。
 しかも、この長さにしては抜き身で1キログラムと、えらく軽いのです。反りも弱く、いわゆる「物干し竿」と呼ばれる類の刀です。
 実際、定寸(2尺4寸)の新々刀「寿命」と比較して、これだけの長さの差があります。

 ちなみにこの上段に置いた「寿命」も、無銘ながら見事な実戦的直刀で、なかなかの御刀でしたが、残念ながら私の体格には合わないモノでした。
 また、これだけ長い刀であれば、軍刀仕立てにしていたとは考えにくく、二次大戦で使われた可能性が低いのも良いところです。


 長さに次いで、重視したのが妻の目。お嬢様育ちの妻のモノを見る目は確かで、妻がこれは良いと言った骨董ものなどは、大体良いものなのです。(当然、買えませんが(^^;)
 私もデザイナーの端くれなので審美眼には少々自信がありますが、美醜ではない気品の上下ばかりは、少年時代に虫や魚ばかり追い回していた粗野な育ちの野生児にはなかなかに身に付かないモノでしょう。
 ちなみにこの刀は、地鉄の木目模様も美しく杢目肌で棟寄りに柾目肌が現れ、刃も直刃ながら刃中の映しは自在に乱れ、匂いは少なめながらも整い、なかなかの気品と美しさ。



 そしてもちろん、決め手は値段。
 いやー、本当に安かったんですよ(^^;
 いくら偽銘擦り上げの新刀とはいえ、400年以上の時代を超えてきた真剣とは思えない、驚きの値段でした。
 なんでも、色々と事情があって1年半以上売れ残っていて、この値段になったとか。
 財産価値はゼロですが、どうせ居合で使い潰すつもりなので、問題なし、です。


 それと、ちょっとした縁が気になりました。
 実は、私はこの時、半ば冷やかしのつもりで店に入ったのです。有名な道場をやっていらっしゃるお店だけに、好奇心の方が勝っていたというのは本当のところなのです。
 しかし、店に入って真っ先に出てきたこの刀を握った瞬間に、店番のおばさんがウン、とうなずくほど私に合ってしまった次第。
 その後、様々な名刀の数々も触らせていただきましたが、モノの出来はともかく、この刀よりも私に似合う刀は見つからなかったのです。
 しかも、この刀、なぜか1年半以上も売れ残り、その間ほとんど誰も触れなかったということ。言われてみれば、確かに、切羽(鍔を押さえる銅板)も曲がり、鯉口は堅く締まり……さすがに最低限のメンテはされて塗られた油こそ切れてはいなかったものの、数ヶ月の間客に触られた気配がありませんでした。道場の門下生が入り浸り、常に優れた獲物を狙っているこの店ではなかなか珍しい刀だったのです。
 この刀。たまたまカタログの写真写りが悪く、地肌の美しさが一切出ていなかったのがその原因のようですが、なぜかそれをド素人の私が真っ先に引き当てたのも、何かの縁というモノでしょう。
 しかも、私の体格にあしらえたかのようにぴったり。
 この刀に比べれば、他の刀はどんな高価なモノを握らせて貰っても、まるでただの鉄の棒か、あるいは逆にただの凶器であるかのように、自分に合いませんでした。
 言うまでもありませんが、刀剣は、人の命を司り、そして人間よりもはるかに長命な、限りなく神に近い存在です。時代の古今、洋の東西を問わず、刀剣の神性が称えられてきています。
 そして、これも洋の東西を超えて言われることですが、「剣が持ち主を選ぶ」のです。
 ただの偶然とは思えない出会いに、選ばれたのかな、と思ってしまったのです。


 元々居合向きの拵えは付いておりましたので、この刀に自分の好みで鞘袋と紐の色を合わせ、鯉口と切羽を直していただき、いよいよ私の手元へやってくることになりました。
 銘だけのものとはいえ助廣です。
 作風も、見事に若い頃の津田助廣とそぼろ助廣との中間を再現したような仕上がりで、素人の私としてはなかなかのものに見えます。
 安物でも、まあ、本人が良いんだから良いじゃない(笑)

 そして、受け取りに行った時のこと。
 銃刀法登録の切り替えなどの全ての手続きが終わったあとで、店主の先生(居合の先生なのです)は、にやりと笑ってこんな事を仰ったのです。
先生「いやあ、(全部手続きが)終わったから言いますけど、実はこの刀、私は四分六で正真(本物)だと思ってるんですよ」
 へえ、ってことはこれはかなりの確率で津田助廣……って、えええええ!!!???
先生「ほら、買う前に本物だと思うよって言われて実は偽物だとガッカリするけど、偽物だと言われて本物だと嬉しいでしょ?」
 先生の、この、誠意ある優れた商売人の鑑のようなお言葉に、私は胸を打たれました。さすが流派の宗主と呼ばれる方は違います。
 でも、と、いうことはこれ、助廣の本物って可能性があるって事!!!!????
先生「実は私、これを本物として買ってきましてね(苦笑)。銘もまた、実に良くできているんですよ。で、喜び勇んで××に鑑定に出したところ、偽銘であるとしか現状では鑑定できない、って帰って来ちゃったんですよ」
 ……あらら。じゃあやっぱり偽物なんでしょうか?
先生「ええ、今のところはそう鑑定されています。ですからもちろん、価格的にはこんな感じ(激安)でして、(買い取りも、もっと)安くなるとは思います」
 ハハハ、やっぱり安物は安物なんですね。下手に高価なモノを持ったらどうしようと思っていたので安心しました。
先生「まあそうですね(笑) しかしながら、この刀の由来には少々事情がありまして、実はこの助廣という人は……」


 ……と、先生が話されたお話と、自分で調べた資料を付き合わせると、ちょっと面白い刀剣の歴史の裏側がわかってきました。
 安刀にも歴史あり。
 そして、この日記は明日掲載予定の「その2」に続く!
2008-06-19_03:33-teduka-C(0)::General

 最近、仕事上の事情もあって居合を見学させて貰っています。その中でも、特に厳しいと噂の流派の見学を昨夜させていただきました。
 正直なところ、私はヨットなんてやっているために体力には自信があり、居合なんて余裕だよ、と思っていたのですが……
 いやあ、さすがは厳しい流派、たかがお客さん扱いの体験稽古で、全身ボッコボコです(^^;


 でも、こういう実践的な稽古って言うのは良いですね。
 巻藁斬りで、腕力はともかく、自分が長年やって来た斬り方では敵は切れない、ということも痛感しました。
 こういう伝統武芸に触れると、日本人の良さと言うものも再実感します。
 色々と書きたいのですが、指も腫れていますので、この辺で(^^;
2008-06-17_07:27-teduka-C(0)::General

 アキバ事件の影響で、当方、仕事が色々延期になったりして、大変な状況です。
 どうも、どこをどう間違ったのか、アニメゲームなどのオタク系文化そのものを否定する方向に流れはじめている感もあります。
 ナイフ規制論に至っては、ヒステリックになってしまっていて手が付けられない感じですね。


 今回の事件の本質は、オタクの問題ではなく、大企業による雇用の不安定と格差の問題なのですが……(その反面として、ゆとり教育第一世代の、精神的ねばり強さの無さの問題も浮き彫りになっているわけですが)
 メディアも与党も、自らの大スポンサーである大企業批判が出来ないために、叩きやすいオタク文化に目を反らそうとしているのではないでしょうか?
2008-06-11_06:41-teduka-C(4)::General

日記概略

絶望的な事件

 なんというか、絶望的な事件が秋葉原で起きてしまいました。
 20人弱をトラックで全速で轢いたあと、動けない被害者たちに馬乗りになってめった刺しというのは尋常ではありません。


http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080608-OYT1T00474.htm


 まず、犯人の加藤智大ですが、日研総業という派遣会社所属で、トヨタグループの関東自動車で勤務をしていたということ。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/080608/crm0806082203036-n1.htm
 この日研総業の派遣キャスティング事業部本部が、事件のあった秋葉原にあったわけです。
 犯人は当初はここを目指したのではないかと思われ、そして、その途中にあったホコテンで脳天気に騒いでいる人々を見て「どうせ殺すなら誰でも良い」と、殺意を催した、ということのようです。
http://www.nikken-sogyo.co.jp/company/office_list/kanto_koshinetsu/index.html


 そして、本人の語る犯行理由が「世の中が嫌になった。生活に疲れた」という、生活苦からやけを起こしての無差別殺人。
 もちろん、こうした犯行を行った犯人は許し難いのですが、社会的弱者から徹底的な搾取を行う、日本の格差構造が生み出した犯罪とも言えます。
 現時点では、まだまだ情報が不足していますのでこの件についての詳細は後日書きますが、十年以上前のアメリカでの犯罪に似た、とても嫌な事件です。


 まずは、亡くなられた方のご冥福と、負傷者の方々の一日でも早いご快癒を心よりお祈り申し上げます。
2008-06-09_01:07-teduka-C(2)::General

日記概略

カレーラムネ

 カレーラムネに挑戦しました。


 外見は……黄色い。

 そしてラベルは……

 なぜかインド人。


 コップを鼻に近づけると、カレーの強烈な香りがあります。
 そして一口……


 お、うまい!
 いやこれ、美味いですよ。
 なんというか、よく海外で飲める似非和風なアメリカンドリンクの感じ。
 もし見かけたら、チャレンジしてみる事をお薦めします。
2008-06-03_00:20-teduka-C(0)::General

 サーキットには、学生時代に友人に連れられて何度か行った事があるのですが、当時はその貴重さがあまりわからず、足が遠のいてから、かれこれ十ウン年。
 筑波サーキットが無料で体験走行会をやっていると聞いて、取りあえず参加してきました。

 ワーキングプアーを地で行くアニメ業界に籍を置く赤貧の身としては、無料、というところに心引かれたのは言うまでもありません。
 普通の走行会だと、2〜3万円はかかりますからね(^^;


 折しもこの日は雨。

 我ながら、少々フテ気味の顔ですね(^^;
 しかし、レースは熱く展開されていました!
 体験走行会は、バイクレースの観客動員も兼ねて行われているのですが、このレースが熱い!
 特にこの日注目なのは、ST−600級。筑波スーパーカップ選手権の第2戦に当たります。
 このレースには、若干15才の新鋭、近藤湧也君が、優勝候補として参加していたのです。

 雨の中、若者たちの乗るモンスターマシンたちがパドックに集っています!
2008-06-01_03:44-teduka-C(0)::General