日記詳細&コメント
無事帰国 ラスベガス7,8日目
ようやく先ほど無事に帰国しました。
帰り道では、LAS-LAX間で、日本への乗り継ぎ便への搭乗券と、それにくっつけられていたビザ免除券の半券を無くして大騒ぎとなってしまいました。
それは、LAS-LAX間の飛行機に搭乗してすぐのこと。
胸ポケットに入れていたはずの乗り継ぎ便チケットをしまおうとしたところ、そこに無くなっていたのです。
隣席の橋本君と床や座席を二人キョロと探しましたが見つからず、通路側の方が迷惑そうな顔をしていたので、仕方なく一旦捜すのをあきらめ、上空でシートベルトサインが消えたらすぐに捜すことにしました。
この通路側氏は、明らかにNABに参加していたと思われる広告代理店かTVキー局関係かという感じの軽めの格好をした30歳くらいの男性日本人(仮にTV局氏としておきましょう)。着席の際にもこちらが上の棚から取り出して一時的に通路側席に置いておいた赤い毛布の上に挨拶も無しにドンと座ってしまい、こちらが挨拶をしても返事も返さないような我が儘っぷりを見せつけていたので、これ以上迷惑をかけて、妙に揉めるのが嫌だったということもあります。(米国の短距離便では、人数分の毛布がないので、一種早い者勝ちのような状況でもあるのですが、まあそこはそれ、必要な人が取る分には問題がないのです。でも、同じ日本人同士なんだから一言挨拶くらいあっても良いのじゃないかと……)
で、上空に出て安定するまで20分間。シートベルトサインが消えると同時に座席を出ようとしますが、そこは3人掛けの窓側席。このTV局氏が動いてくれないことには出にくくて仕方がありません。しかし、同氏はこっちのトラブルがよく聞こえているはずなのに地蔵のように前を向いたまま固まっていて、「excuse me、失礼」と、声をかけても「ああ」と答えるだけで席を立とうともせず。
なんで通路側なのに一旦立ってくれないんだろうとも思いましたが、まあ、仕方がありません。
橋本君とこのTV局氏の2名をまたいで通路に出ました。
狭い中型飛行機の上でドリンクサービスのカートを避けながらサーカスのような姿勢で頭上の棚を開け、自分の荷物を手早く全部確認しますが、見つからず。
揺れる飛行機の中で捜し物をしている内に、さすがに飛行機酔い気味になってきました。
これは本格的にやばいな、と思い、キャビンアテンダントさんに状況を説明。
e-チケット発券なのでボーディングパスの再発行は無理にお願いすれば可能なはずですし、ビザ免除半券については、日本に帰国してから米大使館とやりとりをして、何とかする覚悟を固めたのです。
金髪美人のキャビンアテンダント嬢は、地上に着き次第ラスベガス空港に落とし物がないかに電話してあげる、ということだったので、取りあえず機内探索をあきらめ、橋本君にそのことを伝えようと座席の方を振り返りました。
……どこか妙です。
TV局氏が前を向いたまま固まっていて、その向こうには橋本君の真剣に案じてこちらを見ている顔。周囲のお客さんたちも、こちらを心配そうに、あるいは興味深そうにちらちらと見ています。
そこで湧き上がってきたのは、一つの疑問。
……なんでこの人は、迷惑そうな顔も、心配そうな顔もしていないのだろう?
知人や優しい人間であれば、こちらの状況を知れば心配そうに見つめるはず。逆にお高くとまった人間であれば、常に迷惑そうにこちらを見るはず。
スチュワーデスさんにまで連絡をして機内周辺中の注目を集めている状況だというのに、非常にプライドの高いと思われるTV局氏が状況の途中から急にそのどちらもしなくなったいうのは、あまりに妙じゃないか?
滞在中、親切なアメリカ人たちに囲まれていた後だけに、その違和感はますます強くなります。
そもそも、私は乗り込みの際に次のボーディングパスも確認しているので、無くなったこと自体がそもそも妙なのです。
私は飛行機酔いのふらつく足下で荷物を頭上に戻し、このTV局氏に、座席に戻る旨を告げ、彼が立ち上がりやすいように通路を一旦あけました。
しかし、彼はやはり前を向いたまま、やや席を後ろにずれるだけで立ち上がろうとせず。
そして、少し浮き上がった彼の尻の下には、私が一時的に置いた毛布がちらっと見えました。妙にくしゃくしゃにされて押し込まれている感じです。
……私は確信しました。
「すみませんが、一旦席を立っていただけますか?」
そういわれると、彼の顔に始めて表情が浮かびました。それは驚きの顔。
しかし私も、出来るだけ真剣な顔を作って、彼に立ち上がることを促します。同氏の横に立つ橋本君にも目配せをして、彼を立たせるように促します。
そして、彼は観念したかのようにのろのろと立ち上がり……
「あった!」
やっぱり、チケットは彼の尻の下、背中側のシートとの間、丸められた毛布の隙間に、きちんと置かれていました。
もちろん、誰が悪いかといえば、チケットを落とした(あるいは恐らく、取り出した毛布と一緒にうっかり座席の上に置いた)私が100%悪いのです。
旅の疲れからか、肌身離してはならないものを身から離した。それはやってはいけないことであるのは間違いがありません。法的にも倫理的にも私一人の責任であり、全ては私一人の問題、それは間違いのないところです。
しかし、これだけの騒ぎになっているのにもかかわらず1時間近くも尻の下の違和感に気づかない訳もありませんし、すぐ隣席での落とし物騒ぎにもかかわらず自分の尻の下を確認しようともしなかったとすれば、それはそれで問題です。
気がついた瞬間に、笑ってここにあったよ、と教えてくれればすむ話なのに……
ちょっとした面倒や、ちょっとした恥を嫌ったのでしょうけれども……
キャビンアテンダントさんに発見の報告後、妙にがっくりと疲れてしまいました。
自分のミスによる紛失というだけであれば、まあ手間暇をかけて再発行をすれば良いだけのことで、ここまで疲れなかったとは思います。
パスポートをなくしちゃう人も多いのですから、e-チケット発券のスーパーのレシートのようなボーディングパスを無くすくらい、旅ではよくあるトラブルの一つです。次回米国入国の際に少々困るかも知れませんが、大した問題ではありません。旅行にはありがちな馬鹿な(あるいは馬鹿のよくやる?(笑))大失敗の一つです。
しかし、そうではなく、どうにも今回の件では、日本の社会が抱える病巣を、帰国の途でまざまざと見せつけられてしまった気がしてならなかったのです。
その後、LAXでは、AA航空のラウンジ、アドミラルズクラブで休憩。
クッキーとコーヒー以外何もかも有料という実にアメリカらしいラウンジですが、スタッフも周囲の人も皆親切で、落ち着きます。
帰り便への乗り継ぎは、預け入れ荷物も自動で乗り継ぎ、乗り換え時間はほんの10分ほどという、非常に快適な旅でした。
空港で妻の出迎えを受け、その後家に帰ると、犬が驚愕の表情で出迎えてくれました。
まあそりゃ、犬にとってはえらく長い無帰宅だったに違いありません。今も、私にべったりとくっついたまま、離れません。
日米双方が酷い不況に陥っている中での今回の旅は、色々と考えさせられるところがある旅でした。
NABへのApple・Avidの不参加から始まり、閑散としたカジノホテルの状況、米国内でのダムまで守る異常なテロ警戒、そして大自然と、それを観光資源とするための大規模開発。銃と、それを道具として使いこなそうとする社会の問題。そして、人と人が支え合うという社会構成のあり方そのものの問題。それらに対する解決法のズーマニティその他ショーなどのアーティストサイドや、航空会社などの組織運営者からの様々な提示。
やはり、他国を見るというのは、自国を知るための最も重要な手助けの一つでもあるな、と、つくづく感じます。
とりあえず、これにて6泊8日の旅は、一旦終了です。
帰り道では、LAS-LAX間で、日本への乗り継ぎ便への搭乗券と、それにくっつけられていたビザ免除券の半券を無くして大騒ぎとなってしまいました。
それは、LAS-LAX間の飛行機に搭乗してすぐのこと。
胸ポケットに入れていたはずの乗り継ぎ便チケットをしまおうとしたところ、そこに無くなっていたのです。
隣席の橋本君と床や座席を二人キョロと探しましたが見つからず、通路側の方が迷惑そうな顔をしていたので、仕方なく一旦捜すのをあきらめ、上空でシートベルトサインが消えたらすぐに捜すことにしました。
この通路側氏は、明らかにNABに参加していたと思われる広告代理店かTVキー局関係かという感じの軽めの格好をした30歳くらいの男性日本人(仮にTV局氏としておきましょう)。着席の際にもこちらが上の棚から取り出して一時的に通路側席に置いておいた赤い毛布の上に挨拶も無しにドンと座ってしまい、こちらが挨拶をしても返事も返さないような我が儘っぷりを見せつけていたので、これ以上迷惑をかけて、妙に揉めるのが嫌だったということもあります。(米国の短距離便では、人数分の毛布がないので、一種早い者勝ちのような状況でもあるのですが、まあそこはそれ、必要な人が取る分には問題がないのです。でも、同じ日本人同士なんだから一言挨拶くらいあっても良いのじゃないかと……)
で、上空に出て安定するまで20分間。シートベルトサインが消えると同時に座席を出ようとしますが、そこは3人掛けの窓側席。このTV局氏が動いてくれないことには出にくくて仕方がありません。しかし、同氏はこっちのトラブルがよく聞こえているはずなのに地蔵のように前を向いたまま固まっていて、「excuse me、失礼」と、声をかけても「ああ」と答えるだけで席を立とうともせず。
なんで通路側なのに一旦立ってくれないんだろうとも思いましたが、まあ、仕方がありません。
橋本君とこのTV局氏の2名をまたいで通路に出ました。
狭い中型飛行機の上でドリンクサービスのカートを避けながらサーカスのような姿勢で頭上の棚を開け、自分の荷物を手早く全部確認しますが、見つからず。
揺れる飛行機の中で捜し物をしている内に、さすがに飛行機酔い気味になってきました。
これは本格的にやばいな、と思い、キャビンアテンダントさんに状況を説明。
e-チケット発券なのでボーディングパスの再発行は無理にお願いすれば可能なはずですし、ビザ免除半券については、日本に帰国してから米大使館とやりとりをして、何とかする覚悟を固めたのです。
金髪美人のキャビンアテンダント嬢は、地上に着き次第ラスベガス空港に落とし物がないかに電話してあげる、ということだったので、取りあえず機内探索をあきらめ、橋本君にそのことを伝えようと座席の方を振り返りました。
……どこか妙です。
TV局氏が前を向いたまま固まっていて、その向こうには橋本君の真剣に案じてこちらを見ている顔。周囲のお客さんたちも、こちらを心配そうに、あるいは興味深そうにちらちらと見ています。
そこで湧き上がってきたのは、一つの疑問。
……なんでこの人は、迷惑そうな顔も、心配そうな顔もしていないのだろう?
知人や優しい人間であれば、こちらの状況を知れば心配そうに見つめるはず。逆にお高くとまった人間であれば、常に迷惑そうにこちらを見るはず。
スチュワーデスさんにまで連絡をして機内周辺中の注目を集めている状況だというのに、非常にプライドの高いと思われるTV局氏が状況の途中から急にそのどちらもしなくなったいうのは、あまりに妙じゃないか?
滞在中、親切なアメリカ人たちに囲まれていた後だけに、その違和感はますます強くなります。
そもそも、私は乗り込みの際に次のボーディングパスも確認しているので、無くなったこと自体がそもそも妙なのです。
私は飛行機酔いのふらつく足下で荷物を頭上に戻し、このTV局氏に、座席に戻る旨を告げ、彼が立ち上がりやすいように通路を一旦あけました。
しかし、彼はやはり前を向いたまま、やや席を後ろにずれるだけで立ち上がろうとせず。
そして、少し浮き上がった彼の尻の下には、私が一時的に置いた毛布がちらっと見えました。妙にくしゃくしゃにされて押し込まれている感じです。
……私は確信しました。
「すみませんが、一旦席を立っていただけますか?」
そういわれると、彼の顔に始めて表情が浮かびました。それは驚きの顔。
しかし私も、出来るだけ真剣な顔を作って、彼に立ち上がることを促します。同氏の横に立つ橋本君にも目配せをして、彼を立たせるように促します。
そして、彼は観念したかのようにのろのろと立ち上がり……
「あった!」
やっぱり、チケットは彼の尻の下、背中側のシートとの間、丸められた毛布の隙間に、きちんと置かれていました。
もちろん、誰が悪いかといえば、チケットを落とした(あるいは恐らく、取り出した毛布と一緒にうっかり座席の上に置いた)私が100%悪いのです。
旅の疲れからか、肌身離してはならないものを身から離した。それはやってはいけないことであるのは間違いがありません。法的にも倫理的にも私一人の責任であり、全ては私一人の問題、それは間違いのないところです。
しかし、これだけの騒ぎになっているのにもかかわらず1時間近くも尻の下の違和感に気づかない訳もありませんし、すぐ隣席での落とし物騒ぎにもかかわらず自分の尻の下を確認しようともしなかったとすれば、それはそれで問題です。
気がついた瞬間に、笑ってここにあったよ、と教えてくれればすむ話なのに……
ちょっとした面倒や、ちょっとした恥を嫌ったのでしょうけれども……
キャビンアテンダントさんに発見の報告後、妙にがっくりと疲れてしまいました。
自分のミスによる紛失というだけであれば、まあ手間暇をかけて再発行をすれば良いだけのことで、ここまで疲れなかったとは思います。
パスポートをなくしちゃう人も多いのですから、e-チケット発券のスーパーのレシートのようなボーディングパスを無くすくらい、旅ではよくあるトラブルの一つです。次回米国入国の際に少々困るかも知れませんが、大した問題ではありません。旅行にはありがちな馬鹿な(あるいは馬鹿のよくやる?(笑))大失敗の一つです。
しかし、そうではなく、どうにも今回の件では、日本の社会が抱える病巣を、帰国の途でまざまざと見せつけられてしまった気がしてならなかったのです。
その後、LAXでは、AA航空のラウンジ、アドミラルズクラブで休憩。
クッキーとコーヒー以外何もかも有料という実にアメリカらしいラウンジですが、スタッフも周囲の人も皆親切で、落ち着きます。
帰り便への乗り継ぎは、預け入れ荷物も自動で乗り継ぎ、乗り換え時間はほんの10分ほどという、非常に快適な旅でした。
空港で妻の出迎えを受け、その後家に帰ると、犬が驚愕の表情で出迎えてくれました。
まあそりゃ、犬にとってはえらく長い無帰宅だったに違いありません。今も、私にべったりとくっついたまま、離れません。
日米双方が酷い不況に陥っている中での今回の旅は、色々と考えさせられるところがある旅でした。
NABへのApple・Avidの不参加から始まり、閑散としたカジノホテルの状況、米国内でのダムまで守る異常なテロ警戒、そして大自然と、それを観光資源とするための大規模開発。銃と、それを道具として使いこなそうとする社会の問題。そして、人と人が支え合うという社会構成のあり方そのものの問題。それらに対する解決法のズーマニティその他ショーなどのアーティストサイドや、航空会社などの組織運営者からの様々な提示。
やはり、他国を見るというのは、自国を知るための最も重要な手助けの一つでもあるな、と、つくづく感じます。
とりあえず、これにて6泊8日の旅は、一旦終了です。
No comments yet