日記詳細&コメント
武生への旅 その2
そしていよいよ、鍛造教室開催日!
28回目を数えるこの教室ですが、なんと、その参加者のほとんどがリピーターという状況。
初心者はごく少数で、ちょっとびっくりです。
普通、この手のイベントは初心者中心だと思うのですが、鍛造という作業の難しさからか、ここはそうでもないようで。
とはいえ、ナイフマガジンの売れ行きを考えると、50人前後という参加者は、全マニア層から見て、相当な高割合の参加率なんですよね。コアになる層のナイフマニアって、全国に多く見積もっても1万人もいないわけで。
似たジャンルの話で、ちょっと前に実銃射撃のネタを書きましたが、実は、月刊GUNを買う程度のレベルのガンマニアも実際には日本全国で5000人程度といわれています。私自身、それをなんとか広げようと、美少女とくっつけたりゲームとくっつけたり色々やってみましたが、まあ、結局中心層は増えずに別ジャンルの連中の遊び場と化して終わったわけで。
……狭い世界なんですよね。
で、まずは腹ごしらえから。
なんと、漫画喫茶での食事です。
プリンスホテルと言いながら、とても小さいこのホテルでは、付属の漫画喫茶が、朝晩の食事会場となる次第。
なんだか、武生まで大冒険をしてきたんだか、それともいつものように秋葉原にいるんだかわからない感じですが。
食事はオーソドックスな和食でしたが、味付けは大変に上品。
さすが、中部地方とはいえ、出島のように中国・近畿に張り出しているエリアだけのことはあります。
ホテルを外から見るとこんな感じ。
こんなカラオケボックスが、昨晩のあれほどの料理を出すなんて、ちょっと信じられない気分です。
不思議空間、武生。
そして、継体天皇ゆかりの地域を抜け……
到着したのは、かの有名なタケフナイフビレッジ。
建物の中も、越前伝統のナイフ作品でいっぱいです。
今回ご担当の先生方。
佐治先生、浅井先生始め、有名ナイフ作家ばかりで緊張します。
私の担当は、佐治先生と、若手職人の弥氏先生。
http://www.ehamono.com/washiki/saji/
佐治先生は、恐らく、和式ナイフでは最も有名な先生の一人でしょう。
さすがに緊張しますが、先週のラスベガスのガンマン、キャプテン中井先生に引き続き、現役有名人の直接指導を受けられるのは非常にありがたいことです。
作業は、普段、弥氏先生ら、若手の皆さんが使っている工房をお借りして行われます。
若手職人の方々の声を小耳に挟みましたが、さすがに普段使っている機材ではなく、壊しても良いそれなりの機材に置き換えてはいるそうです。とはいっても教室を開く度に、メチャメチャに壊れたりして整備が大変なご様子。それでも毎年2回も教室を開いてくださっているわけですから、ありがたい限りなのですが。
まずはハンマーの練習から。(さすがにこの後は真剣作業なので、自分撮りなどはありません(^^;)
鉄材を炉で赤らめた後で叩き伸ばして、練習を行います。
で、これが今回の最終目標。
剣鉈タイプの副鉈です。
副鉈とは、刃渡り15センチ以内の小型な鉈で、ナイフのように使うものです。
厚手なので、もちろんいざというときには、鉈のような使い方も出来ます。
で、これが練習成果。
この段階では一番上手いと誉められました。
しかし、最初に誉められると後が大変という鉄則は、当然生きてきますのでご安心を(笑)
そして、いよいよ材料を元に説明開始。
材料は、白紙3層材と呼ばれる、和式刃物の基本とも言える素材。
上のナイフを作るためには、下のように叩いてゆけばいい、という説明です。
ご覧の通り、武生のナイフ作りは、和式の鍛造と、洋式のストック&リムーバブル方式の組み合わせで行われます。
つまり、最初から鍛造で刃物の形を作るのではなく、鍛造はあくまでも大まかな厚みと金属組織強化に用い、形状そのものは切り出しと研磨で行うわけです。
これによって、和式の鍛造でありながら、ほぼ同型のナイフの量産が可能になったわけですね。
本来の和式であれば、日本刀同様、一本一本まったく違うものになって、それではネット・通販やショップなどでの大量販売商売は不可能なわけで、そこを切り替えたこの点が、いわば武生ナイフの肝。
これを惜しげもなく公開しているあたりに、技術伝承への熱い思いと、武生ナイフの自信が伺えます。
まずは、弥氏先生のお手本から。
見事に規則正しい槌目で、伸びてゆきます。
続いて私。
おっ。まあまあかも。
で、これを焼き戻します。
これは、変に焼きが入った状態で作業をして、割れるのを防ぐためです。
次いで、ハンマーでぶったたいて、ベコベコに曲げます。
この作業によって、表面の酸化皮膜を取るわけです。
そして、次に冷鍛。
これによってベコベコになった材料を大まかに平らにし、金属組織の空隙を無くし、材料を引き締めます。
そしていよいよ、刃物の形作り。
マジックで、希望の線をケガキます。
ここで、私の初期案は先太過ぎてウェイトバランスが悪いと思われたので、先を細く修正。
次いで、切断。
切断は、武生オリジナルのシャーリング機械を使います。
これはさすがに初心者には無理なので、先生にやって貰いました。
さすがの出来。
そして、再び冷鍛で、今度はきちんと平面に整えます。
それが終わったら、次に、グラインダーとエンドレスサンダーで、刃の元になる形を作ります。
さらっと書きましたが、実は、このグラインダー作業が一番手間でした。
先にも書きましたが、基本的に初心者がいないイベントのため、初心者視点では少々説明不足の感があるのです。このグラインダー作業がまさにそこで躓き、大変な手間と時間がかかってしまいました。
……まあ、その方が覚えるんでいいのですけど(^^;
で、次に、泥付け。
そしていよいよ、焼き入れです!
焼き入れは、なんと、溶けた鉛で行います。
確かにこれなら温度管理もしやすいですね。
泥を付けていれば、直接鉛がこびりついて、刃を汚染することもないですし。
その後は、先生によってやり方は違うのですが、今回は再び焼き戻し。
そして、200度で30分放置したところで、最終修正をして、研ぎ前の形が完成です。
これを明日研ぎ上げ、ケースを付けるのですが、皆さん先生方がニヤニヤと「いやあ、良い形に出来ているねえ。明日もこの形が保てると良いねえ」と。
そう、研ぎによる刃付けが一番難しいんですよねえ……
その後は懇親会へ。
なんと、ここの抽選会で、浅井先生の包丁を当てました!
浅井先生は、恐らく包丁などの実用刃物では日本ナンバーワンの方の一人。
しかも浅井先生本人から直接渡され、感激です!
http://www.ehamono.com/washiki/marukastu/index.html
いやあ、来て良かった!!
ラスベガスのカジノでスった分の運を、一気に取り戻した感じです。
28回目を数えるこの教室ですが、なんと、その参加者のほとんどがリピーターという状況。
初心者はごく少数で、ちょっとびっくりです。
普通、この手のイベントは初心者中心だと思うのですが、鍛造という作業の難しさからか、ここはそうでもないようで。
とはいえ、ナイフマガジンの売れ行きを考えると、50人前後という参加者は、全マニア層から見て、相当な高割合の参加率なんですよね。コアになる層のナイフマニアって、全国に多く見積もっても1万人もいないわけで。
似たジャンルの話で、ちょっと前に実銃射撃のネタを書きましたが、実は、月刊GUNを買う程度のレベルのガンマニアも実際には日本全国で5000人程度といわれています。私自身、それをなんとか広げようと、美少女とくっつけたりゲームとくっつけたり色々やってみましたが、まあ、結局中心層は増えずに別ジャンルの連中の遊び場と化して終わったわけで。
……狭い世界なんですよね。
で、まずは腹ごしらえから。
なんと、漫画喫茶での食事です。
プリンスホテルと言いながら、とても小さいこのホテルでは、付属の漫画喫茶が、朝晩の食事会場となる次第。
なんだか、武生まで大冒険をしてきたんだか、それともいつものように秋葉原にいるんだかわからない感じですが。
食事はオーソドックスな和食でしたが、味付けは大変に上品。
さすが、中部地方とはいえ、出島のように中国・近畿に張り出しているエリアだけのことはあります。
ホテルを外から見るとこんな感じ。
こんなカラオケボックスが、昨晩のあれほどの料理を出すなんて、ちょっと信じられない気分です。
不思議空間、武生。
そして、継体天皇ゆかりの地域を抜け……
到着したのは、かの有名なタケフナイフビレッジ。
建物の中も、越前伝統のナイフ作品でいっぱいです。
今回ご担当の先生方。
佐治先生、浅井先生始め、有名ナイフ作家ばかりで緊張します。
私の担当は、佐治先生と、若手職人の弥氏先生。
http://www.ehamono.com/washiki/saji/
佐治先生は、恐らく、和式ナイフでは最も有名な先生の一人でしょう。
さすがに緊張しますが、先週のラスベガスのガンマン、キャプテン中井先生に引き続き、現役有名人の直接指導を受けられるのは非常にありがたいことです。
作業は、普段、弥氏先生ら、若手の皆さんが使っている工房をお借りして行われます。
若手職人の方々の声を小耳に挟みましたが、さすがに普段使っている機材ではなく、壊しても良いそれなりの機材に置き換えてはいるそうです。とはいっても教室を開く度に、メチャメチャに壊れたりして整備が大変なご様子。それでも毎年2回も教室を開いてくださっているわけですから、ありがたい限りなのですが。
まずはハンマーの練習から。(さすがにこの後は真剣作業なので、自分撮りなどはありません(^^;)
鉄材を炉で赤らめた後で叩き伸ばして、練習を行います。
で、これが今回の最終目標。
剣鉈タイプの副鉈です。
副鉈とは、刃渡り15センチ以内の小型な鉈で、ナイフのように使うものです。
厚手なので、もちろんいざというときには、鉈のような使い方も出来ます。
で、これが練習成果。
この段階では一番上手いと誉められました。
しかし、最初に誉められると後が大変という鉄則は、当然生きてきますのでご安心を(笑)
そして、いよいよ材料を元に説明開始。
材料は、白紙3層材と呼ばれる、和式刃物の基本とも言える素材。
上のナイフを作るためには、下のように叩いてゆけばいい、という説明です。
ご覧の通り、武生のナイフ作りは、和式の鍛造と、洋式のストック&リムーバブル方式の組み合わせで行われます。
つまり、最初から鍛造で刃物の形を作るのではなく、鍛造はあくまでも大まかな厚みと金属組織強化に用い、形状そのものは切り出しと研磨で行うわけです。
これによって、和式の鍛造でありながら、ほぼ同型のナイフの量産が可能になったわけですね。
本来の和式であれば、日本刀同様、一本一本まったく違うものになって、それではネット・通販やショップなどでの大量販売商売は不可能なわけで、そこを切り替えたこの点が、いわば武生ナイフの肝。
これを惜しげもなく公開しているあたりに、技術伝承への熱い思いと、武生ナイフの自信が伺えます。
まずは、弥氏先生のお手本から。
見事に規則正しい槌目で、伸びてゆきます。
続いて私。
おっ。まあまあかも。
で、これを焼き戻します。
これは、変に焼きが入った状態で作業をして、割れるのを防ぐためです。
次いで、ハンマーでぶったたいて、ベコベコに曲げます。
この作業によって、表面の酸化皮膜を取るわけです。
そして、次に冷鍛。
これによってベコベコになった材料を大まかに平らにし、金属組織の空隙を無くし、材料を引き締めます。
そしていよいよ、刃物の形作り。
マジックで、希望の線をケガキます。
ここで、私の初期案は先太過ぎてウェイトバランスが悪いと思われたので、先を細く修正。
次いで、切断。
切断は、武生オリジナルのシャーリング機械を使います。
これはさすがに初心者には無理なので、先生にやって貰いました。
さすがの出来。
そして、再び冷鍛で、今度はきちんと平面に整えます。
それが終わったら、次に、グラインダーとエンドレスサンダーで、刃の元になる形を作ります。
さらっと書きましたが、実は、このグラインダー作業が一番手間でした。
先にも書きましたが、基本的に初心者がいないイベントのため、初心者視点では少々説明不足の感があるのです。このグラインダー作業がまさにそこで躓き、大変な手間と時間がかかってしまいました。
……まあ、その方が覚えるんでいいのですけど(^^;
で、次に、泥付け。
そしていよいよ、焼き入れです!
焼き入れは、なんと、溶けた鉛で行います。
確かにこれなら温度管理もしやすいですね。
泥を付けていれば、直接鉛がこびりついて、刃を汚染することもないですし。
その後は、先生によってやり方は違うのですが、今回は再び焼き戻し。
そして、200度で30分放置したところで、最終修正をして、研ぎ前の形が完成です。
これを明日研ぎ上げ、ケースを付けるのですが、皆さん先生方がニヤニヤと「いやあ、良い形に出来ているねえ。明日もこの形が保てると良いねえ」と。
そう、研ぎによる刃付けが一番難しいんですよねえ……
その後は懇親会へ。
なんと、ここの抽選会で、浅井先生の包丁を当てました!
浅井先生は、恐らく包丁などの実用刃物では日本ナンバーワンの方の一人。
しかも浅井先生本人から直接渡され、感激です!
http://www.ehamono.com/washiki/marukastu/index.html
いやあ、来て良かった!!
ラスベガスのカジノでスった分の運を、一気に取り戻した感じです。
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