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 先日、武生に行って作ってきたナイフが、細部まで完成しました。

 海での利用を考えた、シングルエッジの和式ユーティリティナイフです。

 ハンドルはブビンガをエポキシ処理、ヒルトは真鍮からの削りだし。
 ハンドル形状は私の左手に合わせてあります。
 エポキシ処理なのは、魚の臭いが染みつくのを嫌っての処理です。もちろん、隙間も全部エポキシで埋めてあります。


 ブレードは、ステンレスATS34で炭素鋼白紙一号をサンドウィッチしたクラッド材を、鍛造して製作。
 ブレード形状は、5ミリ以上の肉厚の刃材に、シングルエッジ、ドロップ、ダブルサイドグラインド。
 刃渡りはヒルトから数えて13センチ(実刃寸で12センチ)。この形状のナイフは刃渡り15センチまで合法なのですが、手に合わせたらこのサイズになりました。なんでも限界までデカけりゃいいってもんでも無いわけで(^^;
 形状は、ドロップの際に峰のベベルを大きめに取ることで、魚の血抜きを考えてポイント(切っ先)を切り込みやすくしています。
 峰側部分の処理を忘れて帰ってきてしまったのですが、ダイヤモンド砥石を使えば、自宅でも案外色々と修正が出来たので一安心です。
 峰側は切り出したままだったので、峰に残ったバリで手を切りかねない感じだったんですよね(^^;
 ヒルトは、ヤスリで削り直してドレメルで磨き込みました。おかげでピカピカです。



 上から見るとこの通り。
 ポイントまでかなりしっかりとした厚みがあることがわかります。



 シース(ナイフケース)は、堅めの革製。
 わかる人はわかると思いますが、左利き用です。
 3〜4枚の皮をボンドで仮接着したものを、ダブルステッチで仕上げてあります。
 今回は海での利用を考えた実用刃物なので、敢えてボタンホック留めにしています。
 ボタンホックを使うと鞘の内側に留め具が来るためブレードを傷つけるのですが、実用性重視で考えました。
 もちろん、ホックが無くても抜け落ちないように、ヒルト部分を皮で押さえ込む工夫はしているのでご安心を。日本刀の、鯉口にあたる部分ですね。

 実はその押さえ込む工夫の部分が、東京に帰ってきてヒルトを削り込むまでちゃんと効くかどうかわからなかったのですが、実際仕上げてみてかなり効いているので一安心です。


 取りあえず、今晩のリンゴ切りに使ってみました。
 肉厚過ぎて最後まで切り終える前にリンゴを割ってしまいますが、皮むきは極めてスムーズで、リンゴを切るのも刃先部分を使えばなんとかなりました。
 試しに木材を切ってみましたが、リンゴではなく、木材を叩ききるのは超余裕。
 前作のような薄刃の野外包丁とは行きませんが、和式らしく、いざというときにはナタとしても実用に耐える、良い出来です。
 海用だけでなく、キャンプに持ってゆくのも良さそうな一本ですね。
2008-11-30_00:14-teduka::General

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