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 昨日宮崎に飛び、先の新作刀展会長賞を取った、つまり日本一をとった刀匠にお会いして指導を受けてきました。
 松葉一路先生、松葉國正という鍛冶銘で有名なお方です。
 今回改めて宮崎に行った理由は三つ。
 一つが私のための刀を打って貰う依頼、もう一つが武人として指導を請うためでした。……あとの一つは、まあ、ちょっと続いている仕事の関係の修行だったのですが、これはまあこのブログの話題対象外と言うことで(^^;
 数年後に結果が出たらいいなあ、という感じの仕事です。


 なんと、この日は先生のお弟子さんも奥さまもたまたまご不在で、先生自らお出迎えをしてくださいました。
 平たく言えば、日本一の、文字通り国家の宝とも言える刀匠を、丸一日独占してしまったわけです(^^;
 なんというか、幸せな経験でした。


 まずは、先生の鍛刀場につくな否や、試し斬りを。

 これはもちろん武道の指導という面もあるのですが、私に合わせて作る刀の様子見という面もありました。
 結果、刃筋はとても良く立ってはいるが、やはり、切る刀と型稽古に普段使いする刀は分けた方が良いということで、取りあえずは一生ものの型稽古用の刀を作ることになりました。
 ここで、作刀依頼の前に、剣術指導が入ります。
 松葉先生は居合だけでなく、合気道の達人でもいらっしゃるのですが、その合気道を生かした斬り方を指導していただきました。
 普通の斬り方では袈裟以外にはまったく斬れなかった青竹が、先生の指導で、逆袈裟だろうが水平だろうが瞬間的に斬れるようになるのには驚きを通り越して笑いがこぼれました。
 重心の扱い方に重点があり、現在習っている居合流派などでも十分に行かせそうな素晴らしいお話でした。
 このご指導のおかげで、もう、スパスパスパスパ何でも斬れます。
 調子に乗って、先生のお庭を竹の斬りカスだらけにしてしまいました(^^;

 しかしそこで欲が出て、ちょっと力むとすぐに斬れなくなります。ここも、普段の居合で指摘されているところと一緒で、非常に興味深いところです。
 居合で伸び悩んだら、またご訪問をしても良いというお言葉を頂きましたので、作刀依頼をしている身ということを言い訳に、またご迷惑をおかけしようと思っています。


 そして、先生のご自宅へ。
 作刀依頼をしつつお刀談義を。そこで見せていただいたのが、先の新作刀展に出した刀とのこと。
 気さくな先生らしい簡単な説明で気軽にひょいと渡され、ほお、と手に取り、眺めます。
 その美しさ、姿形、まるでどこかで見たような……って……えええええええ!これはひょっとして!!!???

 ハイ、これが今年の日本一の御刀です。
 そうなんです、日本一の御刀そのものに触ってしまいました。
 以前新作刀展でガラス越しに眺めた刀は、直に触るとその魅力をますます増しています。
 その鉄は積み、刃紋は美しく、何より、その刃紋に漂う匂いが、寄せては返す波のように光の加減で変化をします。
 何時間見ていても飽きず、そして、大太刀だというのに何分持っていても全く疲れない、不思議な御刀でした。



 その後は、先生のご案内で日向観光を。

 いやあ、日本一の刀匠を独占して、これは史上稀な贅沢です。
 政治談義も活発に行い、重要なサジェスチョンをいくつも頂くことが出来ました。
 いかに中庸、平静であるかという武道の真髄は、政治にこそ生かすことが出来るものではないかと気づかされます。



 観光の過程で気づいたのが、日向の海と、先生の御刀の匂いの相似です。
 寄せては返す太平洋の強い波が、先生の御刀と同じ印象なのです。
 伺えば、なんと、やはり作刀に詰るとここに来て海を見ているとのこと。

 やはり、芸術には自然の力が強く働くものなのですね。


 そうそう、この旅で完全に決めましたが、私、ヨットを引退します。
 趣味は居合一本に絞り込んでいこうと思っています。
 なぜ、私がヨットにはまっていたのかを分解していくと、これは実は、その武道性に引かれてのことなんです。
 RYAでの修行で学んだのですが、つまりヨットとは、究極的には古式西洋海洋武道に他ならないわけです。
 何しろヨットの最高峰であるRYAとはイギリス海軍の下部組織が元。つまりは軍事訓練の一種でもあるわけです。
 このことは、各国海軍の一番最初の訓練が、帆船航海訓練であることからも伺えます。
 ところが、やはり、そうした伝統のない日本でヨットを続けるのは、時間的制約だけでなく、環境的制約上もなかなかに難しいのです。
 また、ヨットは風力で走るため大して費用がかかるものでないのにもかかわらず、セレブな趣味なのではないかという偏見があり、政治に関わる私の身にとって、それが妨げになっているのも否めません。


 そこで、西洋海洋武道ではなく、陸上の、それも日本の武道である居合に、趣味の時間を一本化しようと思っています。 
 幸い、愛艇のかるがもんには、後継の素晴らしいオーナー様がすでに名乗り出てくださっていて、順調に受け渡しが済みそうです。(だから、業者の皆さん、メールや電話をしてきても無駄ですからね!)
 いずれ、また、ヨットの世界には戻ろうと思っていますが、取りあえず、ヨットからは一時のお別れです。
2009-11-08_02:14-teduka::iai

Comments


羨ましい!

私も自分の愛刀を持ちたく悩んでいます。

あと若い現代刀匠を海外に広く紹介し、生計を助け、日本刀という素晴らしい遺産文化を次世代に伝えることをスタートさせるべく準備中です。

羨ましい!

私も自分の愛刀を持ちたく悩んでいます。

あと若い現代刀匠を海外に広く紹介し、生計を助け、日本刀という素晴らしい遺産文化を次世代に伝えることをスタートさせるべく準備中です。

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